藤井竜王が見事な防衛劇。第6局は一進一退の攻防で、
後手の広瀬八段は72手目に千日手にするチャンスがあったが
それを見送ったのが敗着となったようだ。
感想戦でも真っ先に触れられていた変化だった。
参考動画:72手目が敗着に。千日手が最善だったと感想戦で判明
図の▲3一銀(持ち駒の銀をタダの位置に捨てる)が凄い決め手だった。
解説の棋士も仰天した一撃必殺。
仮に△同玉だと▲3三角成△同桂▲5三香成(下図)と進む。
ただ、この局面で「先手玉に詰めろが継続しないこと」
「先手の攻めが切れないこと」
この二つの条件を満たしていることを正確に読み切らないといけないので、
▲3一銀を指すこと自体は簡単でも膨大かつ精密な読みを要求される局面だった。
異次元の決め手▲3一銀の解説動画
藤井竜王はわずか20分でそれを読み切り、決め切った。
まさに異次元の強さだった。
広瀬八段も戦前の目標「少しでも番勝負を長引かせたい」を見事に達成。
藤井竜王相手にタイトル戦で6局目を指した初めての棋士となった。
第2局、第3局では中盤までに差をつけて優勢になっており「(どちらか)勝ち切っていればフルセットだった」
と悔しさもにじませた。
第1局~第3局までは全て広瀬八段が一時は優勢になっていて、藤井竜王としてはかなり危険なシリーズだったと思う。
両対局者の素晴らしい戦いぶりに改めて拍手を送りたいと思います。