私は昔から数多くのプロの棋譜並べをさせて頂いているが
金が二枚初形から全く動かずに勝った将棋はほとんど見たことがない。
プロの棋譜どころか、私の初心者時代から今までを思い返しても
左右の金を全く動かさずに指していた人など果たして居ただろうか…
少なくとも私が所属していた奨励会や研究会で私自身が指したことも無ければ
誰かが指しているのを見たこともない。
youtubeで解説動画(主催者許諾済)をアップしたので、ぜひそちらで棋譜も観てみてほしい。
上図はそのキャプチャ。78手目まで全く藤井竜王の左右の金が動いていなことをお分かりいただけると思う。
解説動画はこちら
結局、広瀬八段が最終盤で8九の桂を取った以外、藤井竜王は金・桂・香を一切動かすことなく勝ち切った。
終盤はほとんどAIの第1候補手で勝ち切るという人間離れした圧勝だった。
強い、強すぎる…
今までの常識とはいったい何だったか。考えさせられる将棋だった。
これでA級順位戦4勝1敗。最年少名人にまた一歩近づいた。
次局は棋王戦で敗れた佐藤天彦九段。
そしてその次は現在4-1の首位で並ぶ豊島九段と、さすがA級という厳しい相手が続く。
先手番の永瀬王座や、前期B1で敗れた稲葉八段なども凄まじい強敵だ。
果たして藤井竜王は最年少名人を獲得できるのか。
この圧勝劇を見ているとあっさりやってしまいそうな気もするが
まだ一山もふた山もありそうだ。
名人挑戦確率は約70%。
挑戦までいけば奪取確率は85~90%。