藤井聡太

羽生善治九段、棋聖挑戦まであと5勝! 「羽生マジック」炸裂で森内九段との永世名人対決制す

第94期ヒューリック杯棋聖戦 主催:産経新聞社、日本将棋連盟

棋聖戦二次予選準決勝 勝者は千田七段ー梶浦七段戦の勝者
先手:羽生善治九段 後手:森内俊之九段 戦型:角換わり腰掛け銀

角換わり腰掛け銀の最新型から序盤はやや羽生九段ペースで進むも、
中盤で逆転して森内九段ペースに。
そこからは流石永世名人という指し回しで着実に差を広げて、羽生九段を土俵際に追い込む。

しかし、羽生九段はそこからが強かった。



上図は▲7三歩まで。いかにも羽生九段という感じの一手で、これが「羽生マジック」の序章だった。
△同玉は▲5三竜だし、放置すでば▲7二金~▲6二金打で詰む。

△8五桂▲8八玉△7六桂で勝てればいいが、▲同金△同歩の局面は後手玉が非常に怖い。

残り10分を切っていた森内九段は、万全を期して△同馬と取った。
だが結果的にここでは△8五桂で勝ちだった。前述の△同歩と取った局面は後手玉が僅かに詰まない。



△7三同馬を見た羽生九段は、恐らく「森内九段は高確率で△8五桂と打ってこない」ということを
本能的に察知したのではないだろうか。115手目、上図の▲4四金の勝負手を放つ。

結論から言うとここでも△8五桂と打てば後手の勝ちだった。しかし、
▲7三歩の妖手で馬を引かされて態勢を崩された森内九段は△4一桂と受けに回る。この手で
一気に差が縮まり、後手勝勢→後手やや良し~ほぼ互角 くらいになった。



そして119手目。直前の△同歩では△8五桂▲8八玉△8六歩と攻めあいに出れば
どちらが勝ちか分からないギリギリの終盤だったが、残り時間の少ない中で
自陣の脅威となっている金を普通に取った手を責めるのは余りにも酷な気がする。

上図の▲8二銀でとうとう羽生九段が逆転に成功。以下△同馬には
▲同歩成もあるが、▲8五角(下図、参考図)がより厳しい。△8五桂も消している。


次に▲5二竜の詰めろ。▲6三金の攻めも厳しい。
△6三銀と受けても▲8二歩成△同飛▲5一角と攻めていけば、以下
△7一玉に▲7三角成(下図、参考図)で寄り筋。



以下△8五飛には▲5一竜~▲6一同竜~▲6二金で詰み。

よって、△同馬と取れず受けが無いことを悟った森内九段は
羽生九段の玉を詰ましに出たが駒が足りず、羽生九段の大逆転勝利となった。

評価値(水匠7)グラフを見ても分かる通り、まさに起死回生の大逆転だった。

羽生マジックおそるべし。これで決勝トーナメントまであと1勝。トーナメントはベスト16からなので、
藤井聡太棋聖への挑戦権まであと5勝。

本局の動画解説はこちら(主催者様のガイドラインに配慮し、実戦の局面はブログにも使用した3図以内でやらせて頂いています)

-藤井聡太