将棋の結論が出るXデーはいつか

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最近、定跡の研究をしていて思うことがある。
「性能の良いPCと強い将棋ソフトがあれば、将棋に結論を出すことは可能なのではないか」と。現に今、プロの一線級で戦っている人たちの棋譜を見てほしい。明らかにソフトで研究しているであろう棋譜ばかりだ。
 一昨日(5月10日)、昨日と「後手ゴキゲン中飛車が消える?その1~3」という記事と動画をアップさせて頂いたが、早くも5000再生、高評価が3桁超えと反響が大きかった(ありがとうございます)。藤井聡太四段も後手ゴキ中に対してはほぼ全て超速で対抗しており、勝率も高い。

後手ゴキゲン中飛車が消える?その1
後手ゴキゲン中飛車が消える?その2

後手ゴキゲン中飛車が消える?その3

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元々これは自分の使う戦法の序盤の研究が一通り終わったら、満を持してアマ大会に出ようと思って始めた研究だった。個人的に後手番で指したい戦法No1だったゴキ中だったが、最新版の超速が非常に有力でいくら研究しても後手が互角に戦える変化すら出てこない。困ったな…と思い、動画やブログでUPして「そうじゃないよ、〇〇が有力で後手も戦えるんだよ」というコメントを密かに待っていた。実際に幾つかそうしたご意見も頂戴した。本当にありがとうございます。具体的に言うと、「後手は△72玉~△62銀型の早囲いで戦う順が有力で一時期永瀬六段がたくさん指していましたよ」や「5筋の位を取らない指し方で有力なものもありますよ」等。一つ一つ調査し、また動画やブログでまとめさせていただきたい。
炎の七番勝負であった藤井聡太ー永瀬拓矢戦や藤井聡太ー斎藤慎太郎戦の
進行も現在まとめ中で1~2週間位でまとめてまた記事を書きたい。
 さて、そうは言っても既に超速VSゴキ中でゴキ中側が銀対抗で美濃囲いにする順と穴熊にする順、プロ間で何百局も指されてきた形が何れも「居飛車やや良し」という恐ろしい研究結果がelmo+ハイスペックPCでやった結果出てしまった。もちろんこれが100パーセント正しいとは言わないし思っていない。しかし10年前ならトッププロ達が何十局、何百局指してやっと結論に辿り着くレベルの変化もソフトなら数秒でかなりの部分まで解析してしまうことは事実だ。既にノーマル四間飛車をはじめ絶滅しかかっている戦法も多い。この調子で行くと、個人的には5年以内には主要な戦法がすべて解析されてしまうのではないかと思っている。そうなったら、羽生さんがインタビュアーに「将棋の変化がすべて解析されたらどうしますか?」と聞かれて、「桂馬が後ろに飛べるようにとか、ルールを少し変えればいいんですよ」と(冗談めかしてかもしれないが)答えた世界が現実になるのかもしれない。

 

後手ゴキゲン中飛車が消える?その3

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今回は 最新版の超速 VS 穴熊 の戦いを見ていきたい。
elmoで解析した結論から言うと、穴熊は「間に合わない」ので居飛車良しになる。

後手ゴキゲン中飛車が消える?その1は こちら 
後手ゴキゲン中飛車が消える?その2は こちら 

さて、前回記事の後手ゴキゲン中飛車が消える?その2で
美濃に組んで持久戦になる場合の戦い方を述べたが、どの変化も居飛車が有利になっていた。そこで第1図。△72銀に代えて穴熊にしたらどうか?という実戦だ。三段リーグの 藤井聡太 VS 西山朋佳 戦でも指されている。


第1図からいったん▲58金右と固め、△91玉の瞬間に▲24歩が急所。
超速側にまともに穴熊に囲わせる気はさらさら無い。以下、△同歩に▲37桂と跳ねて第2図。既に後手の指し方が難しい。
候補手は
A、△51飛 と B、△82銀(西山三段が指した手)に分かれる。


因みに第1図で△35歩は▲45桂△42角▲35歩で、△36歩には▲38飛だし
△32金なら▲55銀左で先手良し。
まずは B、△82銀から見ていきたい。
△82銀には▲45銀(実戦通り)とぶつけてしまう。 △同銀なら▲同桂△42角に▲53銀と放り込んで△同角▲同桂成△同飛▲24飛△31金に▲96歩(第2B図)が落ち着いた手で良し。次の▲97角に△64銀と投資するのでは後手辛い。


実戦は△同銀ではなく△35歩(最善手)▲同歩△51角と進行したが、▲44銀△同歩▲26飛で次の▲55銀や▲96歩~▲97角を見せ先手良しとなった。
△51角で△51飛(最善手と表示される手)ならじっと▲36銀が好手。放置すると▲46歩~▲45歩で完封になるので△56歩と暴れてくるよりないが▲同歩△同飛に▲46歩が好手。以下△55銀▲47金△66飛△同歩△56銀打に▲58歩!(第2C図)が好手で先手良し。

ということで、第2図から△51飛の変化を見ていきたい。
対しては▲96歩といったん待つ手も非常に有力だが、▲45銀(第3図)とぶつける方が分かりやすいか。


第3図で△同銀▲同桂△42角はやはり▲53銀で悪いので、
1,△32金か
2、△35歩
に分岐するが
1、の△32金は▲34銀△42角に▲23歩(第4図)が好手。


次の▲22歩成から▲43銀成があるので△33銀と受けるか
以下▲同銀成△同角に▲96歩が好手。以下△82銀に▲45桂~▲53銀から精算して▲55銀(第4Å図)で先手良し。
以下△51飛ならじっと▲46銀と引いて△33桂に▲22歩成△同金▲42角△52飛▲31角成。

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ということで第3図から△35歩▲同歩を入れて△36歩を見せて先手の銀に制約を与えてから受けに回ることになりそうだがそこから△32金には
▲36銀(第5図)がやはり好手で先手良し。▲37桂~▲36銀は攻めの理想形。

第5図から進行の一例は△82銀▲46歩△71金▲96歩△42角▲34歩△74歩▲29飛(第6図)
評価値は先手+200~300程度といったところ。後手としてはここまで最善を尽くしてこの形勢では辛そうだ。しかもこの変化に至る手順中、一手でもミスをすれば形勢は大きく傾いて二度と挽回できなくなる。


第6図は先手良しと思うが、穴熊の固さを生かして後手もチャンスはありそうだ。藤井聡三段ー西山三段戦も西山三段がそうした進行を狙っていたと思うが藤井三段の完璧な指し回しの前にリードを広げられ、完敗した。超速は玉が薄いので良くなってから勝ち切るまでがなかなか大変だが藤井三段は見事にそれをやってのけた。次回はその棋譜並べをやっていきたいと思う。

 

 

 

 

 

 

 

渡辺明竜王 VS 豊島将之八段 

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羽生善治王位への挑戦権を懸けた第58期王位戦挑戦者決定リーグ白組
先手:渡辺明竜王
後手:豊島将之八段
戦型:角換わり

豊島将之八段といえば昨期念願のA級昇級を決め、5月7日に行われた対局で非公式戦とは言え藤井聡太四段に快勝した乗りに乗っている棋士だ。
渡辺竜王が二冠王の意地を見せるか、豊島八段が意地を見せるかという構図となって第1図。後手が右銀の位置を決めない工夫をしており先手としても慎重な駒組みが求められている。後手は棒銀、早繰り銀、腰掛け銀の余地が残っている。豊島は藤井四段相手にも似たような陣形から早繰り銀にして快勝している。


第1図から△73銀ととうとう銀の形を決めた。対して▲56銀△84銀と後手は棒銀を明示。先手は▲65銀!と強気の受けを見せて早くも盤上に火花が散った。

以下、7筋で歩交換が行われ第2図。先手としては銀を繰り替えて手厚い陣形を作った。対して後手も△73銀~△74歩と銀の繰り替えを狙ってじっくりとした将棋になった。


以下持久戦になって第3図。先手は攻め駒不足を右金の活用で補う方針だ。
対して後手は一歩持って迎撃の構え。elmoの評価値は「いい勝負」。豊島サイドから見ると後手番でこの局面になればまずまずといったところか。


第3図から▲45歩と果敢に仕掛けた。以下△同歩に▲56金!と世にも珍しい「腰掛け金」の攻めになった。elmoの評価値的にも、この攻めは成立しているようだ。後手は△69角と敵陣深くに打ち込む。対して先手が▲24歩の突き捨てを入れて第4図。同銀か、同歩か悩ましいところだが。


豊島の指し手はなんと△36角成!!
非常に怖いところだが、これで受けきっているとみている。
この一手で評価値は一気に後手に触れた。以下、▲23歩成△同金▲25桂と怖い攻めが続くが、△44銀!とソッポに逃げて大丈夫とみている。以下、▲13桂成!△同玉(同香なら▲11角)▲32角に△27歩がピッタリで、完全に先手切れ模様になった。
そして第5図。後手玉の逃げ道をふさいでまだまだに見えるがここで素晴らしい手があった。

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第5図で△41飛!が華麗な決め手。馬を助ける適当な手段がない。
以下、泣く泣く▲55馬だが△同銀で大駒がすべて後手に行ってしまった。以下は▲同金に△37角と追い打ちをかけて、数手で後手が勝ち切った。

「豊島?強いよね?」のフレーズに恥じない見事な勝ち方だった。果たして挑戦権をつかみ取れるかどうか、今後の動向に注目したい。

棋譜並べ動画は こちら (11分)

忙しい人のための棋譜並べ動画は こちら (3分)

 

 

プロ棋士の棋譜並べに対して思うこと

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youtubeに棋譜並べの動画投稿をしていていつも思うことがある。
人間では「藤井聡太」と「羽生善治」の棋譜とタイトル戦の棋譜以外はあまり伸びないということだ。
たとえば、5月10日現在
中村修九段 VS 佐々木勇気五段の NHK杯戦の再生回数が2000回弱、
佐藤天彦名人 VS 稲葉陽八段の名人戦第3局が4000回ちょっと、
羽生善治三冠 VS 糸谷哲郎八段 の 竜王戦1組トーナメント準決勝が 7000回程度、
藤井聡太四段 VS  豊島将之八段の 将棋まつりの席上対局(持ち時間5分、秒読み20秒) の再生回数が9000回前後となっている。
また、忍びないので名前は出さないが私が個人的に名局だと思って意気揚々と並べた某四段対某五段の対局は1000回にも満たなかった。実はこれで藤井四段と羽生三冠とタイトル戦以外の棋譜を並べる気を完全になくした(笑)

 二日制で行われる、時の名人 VS  A級順位戦を勝ち抜いてきた挑戦者の名誉とプライドと大金を懸けた戦いより持ち時間5分、秒読み20秒のお気楽な非公式戦の方が倍以上伸びるというのが、藤井四段人気の凄いところであり恐ろしい所だ。
流石に棋譜としてのクオリティは圧倒的に名人戦の方が上だ。持ち時間が百倍以上違うので当然と言える。それでも藤井将棋の方が再生数は圧倒的に伸びる。
youtubeに動画投稿する者としてはどうしても再生数の伸びるものを優先的に扱っていく方向になってしまうのだが、注目されない対局でも素晴らしい棋譜はたくさんあるので、出来るだけそういうものも並べていきたいと思っている。
ただし、私程度の人間がただ普通に並べるだけでは再生数やその対局者に興味を持ってもらうことはあまり期待できないので、ここはひとつ体を張ろうと思う。
今現在企画しているのは
・ラップで棋譜並べ
・競馬実況風棋譜並べ
・豊川語録を使ったダジャレ棋譜並べ

だ。下の二つは既にやったことがあり、特に豊川語録のダジャレ棋譜並べは高評価も3ケタに乗っていい感じだった。 動画は こちら

上記のようなものを、藤井聡、羽生、タイトル戦以外の棋譜並べにおいて毎日1局づつUPしていきたいと思う。

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やっぱりチャンネル登録者減るの怖いしやめとこ

 

 

後手ゴキゲン中飛車が消える?その2

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後手ゴキゲン中飛車が消える?その1は こちら
後手ゴキゲン中飛車が消える?その3は こちら 


第1図から△72銀~△64歩~△65歩と▲66銀型を迎撃していく指し方は
前回記事参照(前回記事:後手ゴキゲン中飛車が消える?その1)
その1は こちら

今回は第1図から△72玉と穏やかに囲っていく順を調べていきたい。プロの実戦例も多い形だ。

△72玉以下は▲66銀△82玉▲78玉△72銀▲58金△94歩▲96歩△32金▲37桂(第2図)

第2図までは一本道といったところ。以下△51飛▲16歩△64歩▲29飛△14歩と進んで第3図。ここで▲45桂と仕掛ける手もあり、それも居飛車やや良しと思うがelmoの推奨手は更に上を行っていた。


第3図から▲68金寄!が面白い手。
後手も分岐点で、
A、△63銀
B、△42角
C、△22角に分かれる。

まずAの△63銀はすかさず▲45桂。△22角に▲24歩△同歩▲同飛と進め、
△23歩なら▲34飛△33角▲55銀左で先手優勢。よって△23歩とは打てず△33桂と跳ねるくらいだが▲同桂成△同角▲28飛と進めて、
△84桂にはいったん▲77銀と受けて次の▲86歩~▲85歩を見せて良し。
△23歩なら▲35歩△同歩▲38飛(第4図)と進めてこれも先手良し。

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第4図から△54桂には▲35銀。△42金ならいったん▲34歩を利かせて▲35銀で良し。

続いてBの△42角(▲55銀なら銀交換後に△38銀の狙い)ならいったん▲26飛と浮くのが好手。今度こそ▲55銀が来るので△33角しかないが、そこでいったん▲77角(第5図)と手を渡すのが好手。elmoの評価値は先手+300。


ここで後手は指し手に困る。△63銀なら▲35歩△同歩▲45桂で先手良し。△42角も▲55銀△同銀▲同銀△53角▲28飛で先手良し。
△22角も▲24歩△同歩▲同飛△23歩▲26飛(第6図)で、


第6図から△33角、△63銀、△54飛などの候補手があるが何れも▲35歩△同歩▲45銀と仕掛けて先手良し。

という感じで、後手ゴキゲン中飛車が消える?その1、その2を解説させて頂いたが如何だっただろうか。
もし、後手の修正手順などがこざいましたらご教授いただければ幸いです。

後手ゴキゲン中飛車が消える?その3は こちら

 

後手ゴキゲン中飛車が消える?その1

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後手ゴキゲン中飛車が消える?その2の記事は こちらです

最近、玉形を68玉で留めて攻撃の形を作り、場合によってはそのまま攻めつぶしてしまうタイプの「超速68玉型」が猛威を振るっている。

初手からの指し手

▲76歩△34歩▲26歩△54歩▲25歩△52飛▲48銀△55歩▲68玉△33角▲36歩△53銀▲46銀△44銀▲78銀(第1図)

この▲78銀が新しい指し方で、美濃囲いにするわけではなく、このまま▲66銀型を作って場合によってはそのまま攻め潰そうという指し方。
以下、△62玉▲77銀(第2図)と進んだところが早くも後手の分岐点。


第2図から A、△72玉と B、△72銀に分岐する。
Aは穏やかに王様を囲う順、Bは▲66銀型超速を咎めようという指し方。
結論から言うとAが本筋だが、Bに対する指し方をまず見ていく。
△72銀以下、▲66銀△64歩 と、△65歩▲同銀△63銀の銀ハサミの筋を狙って動くがそこで▲24歩(第3図)が大事な一手。


以下、△同歩▲37桂で攻撃準備完了。対して△71玉の局面はelmoや浮かむ瀬によれば評価値先手プラス200超え。いったん駒組みを進めてから機を見て▲45桂で先手やや良し。
という訳で、後手が良さを求めるなら▲37桂に△65歩と突くしか無いが…
▲同銀△63銀に▲25歩(第4図)が一手早く決まる。


第4図以下は△同歩しかないが、▲同桂△22飛に▲38金!(第5図)がうまい手。


角を逃げれば▲55銀なので△64歩と打つくらいしかないが、▲33桂成△28飛成▲同金△33銀に▲82角(第6図)で、


以下七段の人に△92飛▲91角成△同飛▲22歩と進んで勝った実戦がある。実戦の動画は こちら です。

ちなみに▲82角には△65歩▲91角成△48飛▲58飛△49飛成もあるが、▲81馬と桂馬を取っておいてやはり先手が良さそう。勝ち切るまでは大変だとは思うが、ゴキ中側も悪くなると知っていてこの変化を指すのは辛いだろう。

次回は第2図から A、△72玉で穏やかに囲っている順を調べていきたい。結露からいうと、これも評価値的には居飛車やや良し。

次回、後手ゴキゲン中飛車が消える?その2の記事は こちらです

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藤井聡太四段対大橋貴洸四段 第48期新人王戦2回戦 レビュー

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第48期新人王戦二回戦
先手:大橋貴洸四段 
後手:藤井聡太四段
戦型:角換わり▲58金型VS△62金型

後手の藤井四段がやや作戦勝ち模様の駒組だったが、仕掛けのチャンスを見送ったため逆に大橋四段に鋭く仕掛けられて第1図。
△45歩に対して、次の攻めが鋭かった。

上図から▲同桂!が強手ではっきり先手がペースをつかむ。
以下△同桂▲53角成△42角にじっと▲26馬と引き上げて先手が良さそうだ。以下も順調に先手がリードを広げて第2図。ここでは後手がはっきり悪いが、藤井四段の指した次の手が凄かった。


上図から△28成銀!▲75銀にも△22玉。苦しい局面でじっと手渡し。
まるであの初代七冠王の全盛期を見ているような指し回しだ。28成銀は一番驚いた一着だった。以下、大橋四段は緩みなく攻めて第3図。ここで決め手級の1着が出る。

上図から▲86香!が好手。△85歩なら取って▲72馬だ。実戦は△83桂とまたしても辛い辛抱を強いて、このまま先手が押し切りそうなムードが濃厚になってきたが・・・第4図で事件が起こる。


上図から▲93桂成!△同角▲94歩(第5図)が一見すると妙手順。桂を犠牲に角を殺して先手必勝、と思えたが違った。絶妙の切り替えしがあったのだ。

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第5図で△84角!!!がお返しの妙手。▲同香なら△85桂▲98歩△64香が厳しい。実戦は角を取れずに▲54銀だがこれでは完全に流れがおかしくなった。▲54銀では▲74銀と85桂を封じておけばまだわずかに先手リードだった。一度逆転すれば藤井四段の終盤力は歴代最強レベルだ。瞬く間に勝勢を築き、第6図で華麗な寄せがある。


第6図から△95桂打▲78玉△77歩!▲同金△87金▲同金△同桂成▲同玉△95桂と華麗に詰まして後手の大逆転勝ちとなった。大橋四段としては第4図の▲93桂成さえなければ・・・という無念の一局だったかもしれない。この将棋が、藤井四段のデビュー以来の連勝の中で今のところ一番危ない将棋だったと思う。

 

 

 

 

 

藤井聡太四段 VS 所司和晴七段 竜王戦6組レビュー

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戦型:角換わり48金型 VS 52金型
先手:藤井聡太四段
後手:所司和晴七段
竜王戦6組


第1図、藤井四段がいつものように(?)▲45桂ととんだところ。
以下△22銀には▲24歩・・・ではなく、▲26角と打つのが△65歩、△54銀、△52金型に対する定跡。▲26角で後の端攻めを見せつつ桂取りを防ぎつつ壁銀を固定してやや先手良し、がソフトの見解。定跡も短期間で恐ろしく進歩した。以下、端を攻める先手に後手が8筋から反撃して第2図。大迫力の攻めで後手良しにすら見えるが、次の手が流石の受けだった。


第2図から▲88香が好手。後手も△83香と返すが▲85香△同飛に▲86歩がまた強い受け。以下、第3図となって先手が逆に7、8筋の制空権を奪ってしまった。そして△87歩の垂らしに▲88歩で完封かと思いきや、後手の勝負手が飛ぶ。


第3図で△98銀!が後手の強烈な勝負手だった。これは取るしかない。以下、△18香成を一旦利かして△98桂成で第4図。次の△88歩成と△54香が厳しく先手ピンチにも見えたが、ここからの切り込みが圧巻だった。


ここから▲33角成!△同桂▲53角成!が凄い踏み込み。ただでさえ危険そうなところに駒を渡して大丈夫か?と思ってしまうが、この時点で読み切っていたのかもしれない・・・そして罠だらけの第5図へ。▲42竜で勝ちに見えるが。


第5図で▲42竜で勝ちに見えるが、それは△88歩成▲69玉△87角▲78銀△同角成▲同金△同と▲同玉△87銀!▲同玉△85飛で先手玉が詰んでしまう。
この罠を見切って▲51金が正確な手で、これで先手が余している。以下、第6図。ここからは実戦詰将棋だ。

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第6図から、▲13銀△33玉▲22銀打!△同金▲同銀生△同玉▲31銀!まで先手勝ちになった。華麗な詰将棋のような手順だ。以下は△同玉に▲41竜△22玉▲32金で詰む。
所司七段も的確な反撃や強烈な勝負手を繰り出したものの、藤井四段が圧倒的な力でそれを封じ込めたという印象だった。

 

藤井聡太 VS 横山大樹アマ デビュー16連勝なるか? 新人王戦

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新人王戦
戦型:相掛かり
先手:横山大樹アマ
後手:藤井聡太四段

横山アマが相掛かりから飛車先交換を保留して早めに銀を前線に繰り出す面白い序盤になった。極め付けは第1図の55歩。これで先手の攻勢、後手の守勢がハッキリした。アマチュアなら高確率で先手が勝ちそうな作戦だ。


以下、先手が2歩損をいとわずグイグイと銀を前線に繰り出して第2図。
次の▲54歩~▲37桂~▲45桂が厳しく、▲58飛の応援もある。これは困ったかと思ったがそこは流石に藤井四段だった。


ここで△62金が渋い手だった。▲54歩には△42銀▲37桂に△86歩▲同歩△同飛のカウンターが厳しそうだ。△57桂の筋がつきまとっている。
後手が渋い受けでリードを奪ったが、第3図の△41玉(52から)が疑問手で
ここで先手にチャンスが訪れた。


上図で▲23歩(本譜)と打ったのが鋭い手だった。△33角に▲28飛と引いて、次の▲45桂が厳しい。ここで評価値は後手400からほぼ互角に戻った。
以下、先手が攻勢を取り続けて第4図。ここで先手にチャンス手があったが…


実戦は上図から▲77金だが△65銀▲76金△同銀と進んで2枚替えの上に後手の銀が急所に利いてきて藤井四段がはっきり優勢になった。
上図では▲22歩成~▲33角成~▲21飛成とすれば僅かに先手リードの終盤だったようだ。以下、本譜に戻って第5図だがここで後手に好手があった。


ここで△27歩が痛打だった。対して▲同飛は△67銀成で一手負け。
▲22歩成が唯一の勝負手だったが、それも△同銀▲27飛△67銀成▲33角成(第6図)に好手があって受かる。

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上図で△61金!が好手。飛車を逃げれば△33銀~△31金打で受かるが
適当な攻めもない。▲44桂なら△62玉で大丈夫。
ということで、本譜に戻って第7図。△72角くらいでも勝ちだが
藤井四段は完璧に読み切りの一着を放つ。


第7図で△73桂!が妙手。▲同角成なら△69金~△93角で王手飛車がかかる。この手で大勢決したか。以下、横山アマも最後の気力を振り絞って第8図。受け間違えるとトン死するが・・・


第8図で△62金合が唯一の受け。以下▲63金△41玉の時、金合以外なら▲61竜で詰みだが本譜はそれができない。以下数手指して横山アマの投了、藤井四段のデビュー16連勝が決まった。

棋譜並べ動画は こちら です。

 

 

藤井聡太 VS 金井恒太 デビュー15連勝なるか

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今回は、藤井聡太四段 VS 金井恒太六段の
竜王戦6組準決勝の模様をお伝えしたい。
戦型は後手左美濃急戦 vs 先手矢倉で第1図のようになった。一見とても自然な進行だが、実はソフト評価値は後手+200と既に差のついた局面で、最近は先手がこの局面を避ける傾向にある。


第1図から先手は玉を深く囲いつつ桂を活用、後手は金を繰り出していって第2図、△75歩まで。先手玉はいかにも愚形だがどこかで▲68銀左が頻出手筋で、角筋も通って反撃に適した形となる。ただしこの場合は△64金が非常に手厚い形で攻めが厳しく、後手がリードを奪っている。


実戦は第2図から▲同歩△同金▲76歩に△86歩▲同歩△66歩と猛攻開始。▲同銀右△同金▲同銀の第3図で教科書通りの厳しい攻めがあった。


第3図から薄くなった8筋めがけて△86歩~△85歩~△86歩の継ぎ歩から垂れ歩が急所(第4図)。瞬く間に後手が微差を優勢に持って行った。


第4図から▲97角!と金井六段も勝負手を見せる。以下△81飛に▲77桂!(第5図)と飛を追撃し、薄い53の地点を睨んで反撃に転じようとするが…。実はここで決め手があった。


実戦は△81飛と逃げたが、実は第5図で△65銀!が凄い手で決まっていた。対して
1、▲85桂なら△66銀だし
2、▲同銀なら△同桂▲85桂△77歩▲88金△78銀で後手勝勢。
ただ、もちろん81飛も悪手という類の手でないので局面は依然後手優勢。△81飛以下は▲85歩で次の86角に期待したが△65歩が好手。▲57銀△85桂▲86角には構わず△77桂成があるのでやむなく▲75銀としたが▲53角成が消えてしまった。以下、後手がじりじりと差を広げて第6図。得意の詰将棋のような派手な決め手ばかりではなく、大きな悪手を指さずにゴールへ向かっていく「地味な好手」を積み重ねられるのも藤井聡太四段の大きな特徴の一つ。とにかく間違えない。そして第6図で好手がある。


上手から△64角!が好手だった。桂取りと△97歩成▲同歩△85飛▲同歩△97角成の筋がいっぺんには受からない。金井も▲46桂と「一石二鳥」の手で返すが、凄い手順があった。(第7図)


第7図から単に△85飛!が強手。▲34桂ならいったん△33銀で桂取りが残ってどうしようもなくなるので▲同銀だが、△97歩成▲同歩△同香成▲79玉△46角▲同歩△87桂と、桂を払って自陣を安全にしながら猛攻を続けた。以下▲同金寄△同と▲同金(第8図)にまた目の覚めるような手が飛ぶ。

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第8図から△86桂!!が凄い手。代えて△86歩だと▲26桂の反撃があり、以下△87歩成なら▲22角△42玉に▲62飛と打たれて後手玉がとん死する筋がある。▲26桂に△68銀▲89玉を決めてから△42桂が正確な受けで厳密には後手勝ちだが、二代目七冠王候補としては先手に反撃の一手を与えることすら気に入らなかったと見える。

第8図以下は、▲88玉に△78金から精算して△38飛まで、金井六段の投了となった。以下は▲77玉△37飛成▲86玉に△95銀~△87竜でどうしようもない。

寒気のするような強さで、とうとう6組優勝、本戦進出まであと1勝と迫った。このまま挑戦者に駆け上がり、タイトルを獲得したとしても私は全く驚かない。既に竜王を獲得するのに十分な棋力は備わっているはずだ。