藤井聡太四段の29連勝と将棋界の憂慮

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6月26日、藤井聡太四段が竜王戦決勝トーナメントの1回戦で増田康宏四段に勝利。難攻不落と思われた神谷八段の連勝記録を30年ぶりに更新して歴代単独1位となる29連勝を飾った。日本列島が「藤井フィーバー」に包まれた。私も大いに喜び、はしゃいだ。
 だが、一つどうしても見過ごせないことがある。増田四段も対戦前の意気込みとして言っていたが
・藤井四段が勝ちすぎている現状がある
・(上記のように勝ちすぎると)将棋界がぬるい世界だと思われてしまう
という点だ。藤井四段は千田六段、澤田六段等の実力レーティング10番台の棋士からの勝利も含む公式戦29連勝だけでなく、非公式戦とは言え羽生三冠や斎藤慎太郎七段等の実力レーティング10番以内の棋士からも勝利を掴み取っている。それも完勝と言っていい内容だった。藤井四段に対しての称賛コメントの中で、
「これからはトップ棋士達との対戦も増えるが彼らの技術を吸収して更なる実力を身につけてほしい」
といったものもいくつかあったが、彼らから吸収すべき要素というのはもう殆ど無いのかもしれない。正直な話ソフトで間に合ってしまっているのかもしれない。でなければ、現時点であんな勝ち方ができる訳がない。
藤井四段の才能は将棋の歴史の中でも1,2位を争うレベルであることは疑いようがない。しかし、だからと言って14歳の時点でこんなに勝てるものだろうか。この結果はまるで、他の先輩方の積み重ねてきたことがが全否定されているようなものではないか。増田四段の言いたかったことは恐らくそうしたことだろう。今後、『突出した才能を持った者がソフトを使って効率よく研究すれば、あっさり将棋界のトップに立ててしまう』
という方程式が確立してしまうような気がしてならない。恐らくは才能のある小学生達は藤井四段の辿った
・詰将棋をひたすら解きまくる
・ソフトを活用して研究しまくる
という道を全力で真似してくるだろう。藤井四段ですらソフトを活用し始めたのは三段リーグの途中からと言うから、これを小学生の時点からひたすらやり込んだらどういうことが起こるか。最早想像に難くないだろう。私もyoutubeで将棋実況をし始めた半年ほど前から主にソフトを使った研究、ソフト相手の実戦を毎日やったら昔将棋をやっていた時より強くなってしまい、レーティングが跳ね上がった。たった半年でだ。もう何年も将棋をやっておらず(詰将棋だけは詰パラでやっていたが)、ブランクがあったのにも関わらずそれをあっという間に取り返し、あっさりと追い抜いてしまった。嬉しくなる半面、本当に今までやってきたものは何だったのだろうと虚しい気持ちになる。全然レベルは違うが、プロ棋士の先生方の中にも藤井四段の活躍に似たものを感じている人がいるのではないかと想像している。
私のやっている序、中、終盤の鍛え方は
1、よく出てくる定跡形や指したい形からソフトと1分将棋(時間が無いときは20~30秒)で1局指す
2、当然負けるので、マイナス1000位劣勢になった局面からひっくり返して再度指す
をひたすら繰り返すというシンプルなものだ。そして、感心した構想や次の一手があれば画像をキャプチャして保存し、いつでも見返せるようにしておく。本当にたったこれだけのことだ。ソフトさえあれば人間との練習対局などいらない。指すのは本番の大会だけで十分だ。私はそう確信している。と言っても結果を出さないと「ハイ、ハイ」で済まされてしまうので、何とかアマ大会で結果を出せるように頑張りたいと思う。
ただ、残念ながら私はもういい大人だ。脳が衰えているので吸収率も小学生とは比較にならないし、すでに「残念な将棋脳」「不要な先入観」といったものも沁みついてしまっている。生きている限りはチャレンジし続けたいが、伸びしろは限られているだろう。もしこれを読んでいる学生の方がいたら、将棋に限らず努力できる時間は限られているので毎日を後悔しないように過ごして下さいーとありふれたセリフをプレゼントしたい。

 

 

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“藤井聡太四段の29連勝と将棋界の憂慮” への6件の返信

  1. こんにちは。いつも楽しく拝見しています。私は初心者なのですが、アユムさんの動画は見ていると強くなれそうで楽しいです。
    29連勝の日、私は将棋会館にいました。報道陣が山のようにいて、圧巻でした。
    あんなに沢山の大人に囲まれて自分を見失わない藤井さんは偉いなと、心を打たれたました。

    ただ私がその日将棋会館にいたのは藤井さんの追っ掛け…ではなくお世話になった奨励会員の講師の方のセミナーが最終回だったからです。その講師の方は違う夢を追いかけるそうです。ただ将棋は続けると言っていたので、将棋を嫌いになったわけじゃないのだなと安心しました。

    同じ空間に沢山の報道陣に囲まれて将棋を指す子もいれば、涙をのんで夢を諦める子もいて、何だかちょっと複雑な気持ちになりました。
    そんな厳しい世界で戦っているのにもかかわらず、何だかちょっと軽く扱うメデイアの報道にもやもやしたり…

    藤井さんの活躍はもちろん嬉しいけれど、
    どうか諦めた子もアユムさんのように前向きな気持ちで、将棋と向き合っていってほしいなとここ数日ずっと考えていて、思わずコメントをしてしまいました。

    長々意味不明なコメント残してすみません。
    動画投稿楽しみにしています。これからも頑張ってください。

    1. 有難うございます^^
      プロになれなかったからといって人生が終わる訳でも、
      そこまで積み上げたものがゼロになる訳でもないですからね。
      私は元奨励会員であることを誇りに思っています。
      今後ともよろしくお願い致します。

  2. 以前にも述べましたが、名人が当たり前のようにソフトに負かされる今日、プロ棋士制度は撤廃すべきだと思っています。
    私が某サイトで「自動車の普及に伴い馬が街から消えた」ことをプロ棋士が不要である例えとして発言したところ、
    「見る側の立場なら『カーレース』と『競馬』で例えるべき」との反論をした方がいました。
    なるほど、一見、上手いこと反論したように思いますが、この反論にも大きな落とし穴があります。それは「馬は車を模倣しない」という事です。
    プロ棋士はどうでしょうか?
    それが答えです。

    P.S.私は「にわか」ですが将棋ファン歴20年です。

    1. 確かにソフトがプロを超えたことはさまざまな議論を呼ぶ出来事だと思います。
      実際、プロ間でソフトを模倣したような序盤が増えてきたことも問題だと思います。
      ただ、もし現行ルールで完全に行き詰った場合は初形を少し変えたり、
      ルール自体をほんの少し変えたりすることによって、
      息長く将棋の世界は続いていくと思います。

  3.  黒牛乳氏はプロ棋士に恨みでもあるのでしょうか(笑)

     AIが人間を越えたから既存のシステムを破壊しようというのはいくらなんでも極端な思考です。その理屈でいうのなら汎用人工知能(AGI)が完成された暁には人類が不要となり全員仲良く首を吊らなくてはいけなくなりませんか(笑)

     AIと人類は競合するものではなく共存するものと捉えるべきです。第一、プロ棋士は需要があるから存在しているのです。人間の中で最高峰の知性がぶつかり合う。また戦う棋士の追ってきたドラマやバックボーンを想像、ときには実際に追ってきてファンは一喜一憂し、興奮するものでしょう。

     強さという一点でしかプロ棋士を測れない人からすれば、そんなものはどうでもいい。ということになるのでしょうけど多くのファンが支持する限り、プロ棋士制度はなくなりません。

     仮になくなるとしたら全ての職業がAIに取って代わられる時でしょう。

    1. 全ての職業がAIに取って代わられる時代も、かなり近づいてきた実感がありますね。
      将棋の世界は、もしソフトに全解析されてしまい指す戦法がなくなったとしても
      対局ルールを微妙に変えたり、必要があれば将棋自体のルールをほんの少し変えたりしながら
      これからもずっと続いていくと思います。

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