藤井聡太四段の29連勝と将棋界の憂慮

スポンサーリンク

6月26日、藤井聡太四段が竜王戦決勝トーナメントの1回戦で増田康宏四段に勝利。難攻不落と思われた神谷八段の連勝記録を30年ぶりに更新して歴代単独1位となる29連勝を飾った。日本列島が「藤井フィーバー」に包まれた。私も大いに喜び、はしゃいだ。
 だが、一つどうしても見過ごせないことがある。増田四段も対戦前の意気込みとして言っていたが
・藤井四段が勝ちすぎている現状がある
・(上記のように勝ちすぎると)将棋界がぬるい世界だと思われてしまう
という点だ。藤井四段は千田六段、澤田六段等の実力レーティング10番台の棋士からの勝利も含む公式戦29連勝だけでなく、非公式戦とは言え羽生三冠や斎藤慎太郎七段等の実力レーティング10番以内の棋士からも勝利を掴み取っている。それも完勝と言っていい内容だった。藤井四段に対しての称賛コメントの中で、
「これからはトップ棋士達との対戦も増えるが彼らの技術を吸収して更なる実力を身につけてほしい」
といったものもいくつかあったが、彼らから吸収すべき要素というのはもう殆ど無いのかもしれない。正直な話ソフトで間に合ってしまっているのかもしれない。でなければ、現時点であんな勝ち方ができる訳がない。
藤井四段の才能は将棋の歴史の中でも1,2位を争うレベルであることは疑いようがない。しかし、だからと言って14歳の時点でこんなに勝てるものだろうか。この結果はまるで、他の先輩方の積み重ねてきたことがが全否定されているようなものではないか。増田四段の言いたかったことは恐らくそうしたことだろう。今後、『突出した才能を持った者がソフトを使って効率よく研究すれば、あっさり将棋界のトップに立ててしまう』
という方程式が確立してしまうような気がしてならない。恐らくは才能のある小学生達は藤井四段の辿った
・詰将棋をひたすら解きまくる
・ソフトを活用して研究しまくる
という道を全力で真似してくるだろう。藤井四段ですらソフトを活用し始めたのは三段リーグの途中からと言うから、これを小学生の時点からひたすらやり込んだらどういうことが起こるか。最早想像に難くないだろう。私もyoutubeで将棋実況をし始めた半年ほど前から主にソフトを使った研究、ソフト相手の実戦を毎日やったら昔将棋をやっていた時より強くなってしまい、レーティングが跳ね上がった。たった半年でだ。もう何年も将棋をやっておらず(詰将棋だけは詰パラでやっていたが)、ブランクがあったのにも関わらずそれをあっという間に取り返し、あっさりと追い抜いてしまった。嬉しくなる半面、本当に今までやってきたものは何だったのだろうと虚しい気持ちになる。全然レベルは違うが、プロ棋士の先生方の中にも藤井四段の活躍に似たものを感じている人がいるのではないかと想像している。
私のやっている序、中、終盤の鍛え方は
1、よく出てくる定跡形や指したい形からソフトと1分将棋(時間が無いときは20~30秒)で1局指す
2、当然負けるので、マイナス1000位劣勢になった局面からひっくり返して再度指す
をひたすら繰り返すというシンプルなものだ。そして、感心した構想や次の一手があれば画像をキャプチャして保存し、いつでも見返せるようにしておく。本当にたったこれだけのことだ。ソフトさえあれば人間との練習対局などいらない。指すのは本番の大会だけで十分だ。私はそう確信している。と言っても結果を出さないと「ハイ、ハイ」で済まされてしまうので、何とかアマ大会で結果を出せるように頑張りたいと思う。
ただ、残念ながら私はもういい大人だ。脳が衰えているので吸収率も小学生とは比較にならないし、すでに「残念な将棋脳」「不要な先入観」といったものも沁みついてしまっている。生きている限りはチャレンジし続けたいが、伸びしろは限られているだろう。もしこれを読んでいる学生の方がいたら、将棋に限らず努力できる時間は限られているので毎日を後悔しないように過ごして下さいーとありふれたセリフをプレゼントしたい。

 

 

スポンサーリンク

 

 

 

藤井聡太 デビューからの全勝敗表0627 (+わかる範囲で今後の予定)

スポンサーリンク

【公式戦】

○:12・24:加藤一二三九段:竜王戦6組

○:01・26:豊川孝弘  七段:棋王戦予選

○:02・09:浦野真彦  八段:竜王戦6組

○:02・23:浦野真彦  八段:NHK杯予選

○:02・23:北浜健介  八段:NHK杯予選

○:02・23:竹内雄悟  四段:NHK杯予選

○:03・01:有森浩三  七段:王将戦予選

○:03・10:大橋貴洸  四段:新人王戦

○:03・16:所司和晴  七段:竜王戦6組

○:03・23:大橋貴洸  四段:棋王戦予選

ーーーーーーここまでで10連勝ーーーーーーーーーー

○:04・04:小林裕士  七段:王将戦予選

○:04・13:星野良生  四段:竜王戦6組

○:04・17:千田翔太  六段(10番台):NHK杯1回戦

○:04・26:平藤眞吾  七段:棋王戦予選

○:05・01:金井恒太  六段:竜王戦6組準決勝

○:05・04:横山大樹  アマ:新人王戦

○:05・12:西川和宏  六段:王将戦1次予選

○:05・18:竹内雄悟  四段:加古川清流戦

スポンサーリンク

○:05・25:近藤誠也  五段:竜王戦6組決勝

○:06・02:澤田真吾  六段(10番台):第43期棋王戦予選決勝

ーーーーーーここまでで20連勝ーーーーーーーーーー
 
06・07:上洲YAMADAチャレンジ杯(トーナメント)
○1回戦 :都成竜馬 四段(50番台)
○2回戦 :阪口 悟 五段(90番台)
○3回戦 :宮本広志 五段(50番台)

06・10: 第3期叡王戦 段位別予選
○1回戦:梶浦宏孝四段(60番台)
○2回戦:都成竜馬四段(50番台)
  
○06・15:瀬川晶司五段(70番台) :C級2組1回戦

○06・17:藤岡アマ(??) :第11回朝日杯将棋オープン戦一次予選

○06・21:澤田真吾 六段(10番台) :王将戦一次予選
 
○0626:増田康宏四段(20番台) :竜王戦 決勝T1回戦 

ーーーここまでで29連勝(歴代単独1位記録を30年ぶりに更新)ーーーーーー

次の対局 カッコ内は記事作成時のおおよその実力レーティング
0702:佐々木勇気五段(10番台) :竜王戦 決勝T1回戦 
0706:C2順位戦 中田功七段(90番台)

 その他直近の対局日未定戦
NHK杯2回戦 森内俊之九段(40番台)
棋聖戦一次予選 西川慶二七段(100番台)
棋聖戦一次予選 阪口悟 五段(90番台)
 新人王戦4回戦 佐々木大地四段(50番台)

【非公式戦】

○:03・23:先崎学    九段:獅子王戦準決勝

●:03・23:羽生善治  三冠(10番以内) :獅子王戦決勝

○:03・13:増田康宏  四段(20番台) :藤井聡太炎の七番勝負 第1局

●:03・19:永瀬拓矢  六段(10番以内) :藤井聡太炎の七番勝負 第2局

○:03・26:斎藤慎太郎七段(10番以内) :藤井聡太炎の七番勝負 第3局

○:04・02:中村太地   六段(20番台) :藤井聡太炎の七番勝負 第4局

○:04・09:深浦康市  九段(10番台):藤井聡太炎の七番勝負 第5局

○:04・16:佐藤康光   九段(10番台):藤井聡太炎の七番勝負 第6局

○:04・23:羽生善治  三冠(10番以内):藤井聡太炎の七番勝負 第7局

●:05・07:豊島将之 八段(10番以内):第24回将棋まつり席上対局

デビュー29連勝なるか!? 藤井聡太四段 VS 増田康宏四段 10代対決!

スポンサーリンク

藤井四段の非公式戦・公式戦の全対局成績は こちら

第30期竜王戦決勝トーナメント
対局日:2017年06月26日
先手:藤井聡太四段
後手:増田康宏四段

【20時半~22時】
各所で報道されたのでご存じの方も多いと思うが、藤井聡太四段が見事に勝ち切って連勝記録の歴代単独1位となる29連勝を達成した。ここまで神谷八段と並んで歴代1位タイだったが、30年ぶりに記録を更新した。歴史的瞬間に立ち会えてとても幸せに思う。途中、角2枚と桂2枚だけで攻めつけるという滅多に見れない光景も見れて非常に面白い将棋だった。序盤は増田四段の雁木作戦が見事にハマり、藤井四段がピンチの局面もあったと思う。1局を通して引きしまった名局なので是非日本将棋連盟モバイルなどで観戦して欲しいと思う。基本有料、月額500円ですがこの1局だけは無料で見れます。
私の作った本局のハイライト動画は こちら

 
【19時半~20時半】
藤井四段が突如、角2枚、桂2枚を乱舞させる猛攻を開始。正確に受ければやや無理筋だったようだが増田四段が誤り、一気に藤井四段が勝勢に。前人未到の29連勝が大きく近づいてきた。この後、事件が起こらなければ歴史の変わる瞬間を目の当たりに出来そうだ。
 
【夕食休憩~19時半】
夕食
藤井四段:わんたんめん(紫金飯店)
増田四段:ヒレカツ定食ライト+肝吸い(ふじもと)

藤井四段は昼の豚キムチうどんに続く麺類、増田四段は昼に続いてカツとなった。
カツを食べることによって勝つというゲンをカツいだか。
局面は、増田四段はっきりリードという所から藤井四段が守りの桂馬を2段跳ねする気迫の勝負手を見せ、それに増田四段がやや対応を誤ったか後手のリードが吹き飛んだ模様。エルモ評価値は完全に互角に戻った。29連勝を応援する者としては嬉しいが、増田四段は終盤力にも定評がある。まだまだ胃の痛くなるような戦いは続きそうだ。
 
  【15時~18時】
増田四段が巧みな反撃から飛角交換に持ち込んだ。飛車を持てば藤井陣のスカスカの右辺に打ち込む手が非常に厳しい。はっきり増田四段のリードと言ってよさそうだ。elmoの評価値は+400程度。ただ、終盤が藤井聡太タイム。今までも400程度の差を跳ね返して勝ったところを5回は見たことがある。プロデビュー以降、藤井四段相手に400程度の微差からそのまま押し切れたのは非公式戦ながら羽生三冠、豊島八段、永瀬六段の3名のみ。増田四段もそこに加われるか。
この局面からどちらが勝つか賭けろと言われたら、私は正直増田四段に賭けたい。もちろん藤井四段を心底応援してはいるものの、増田四段クラスの実力者がここから簡単に逆転を許してくれるとも思えない。

スポンサーリンク

【昼食~15時】
藤井四段が「スキ有り」と見て果敢に攻め立てたものの、
15時13分現在の局面は増田四段の反撃が的確で棒銀が立ち往生しそうなため微差ながらやや後手良しか。評価値は後手+150といったところ。とはいっても後手玉は居玉、先手玉は次に一手で囲いに入れる形ということで実戦的にはほぼ差が無いといっていいのかもしれない。とはいえ、現状は飛角交換が濃厚で、飛車を手に入れられそうな後手に不満は無いだろう。

 

先手:藤井聡太
後手:増田康宏
【昼食】
藤井聡太四段:豚キムチうどん(みろく庵)
増田康宏四段:ミニとんかつ丼(みろく庵)
  
【開始~11時まで】
藤井四段歴代単独1位の29連勝をかけた運命の一局は10代対決となった。(藤井:14歳 増田:19歳)藤井四段の活躍は今更言うまでもないが、増田四段も16歳でプロデビューして昨年新人王を獲得したり今季は竜王戦5組で優勝したりとその実力は疑いようが無い。
また、増田四段の森下九段直伝の勉強法(記事は こちら
も非常にためになるので強くなりたい方はぜひ真似てみるといいと思う。私も最近マネしています。
 〈対局開始〉
 角換わり調の出だしから、増田四段が角交換を拒否。雁木囲いに進展していきそうだ。藤井四段は右銀を早繰り銀の構えにして速攻していく姿勢を見せた。27連勝目の藤岡隼太アマとの将棋では華麗に雁木を粉砕して完勝したが、本局ではどうか。11時17分、早くも駒がぶつかった。大乱戦の予感だ。

増田康宏四段の、森下九段直伝の勉強法について

スポンサーリンク

今日、読売新聞の朝刊の将棋欄を見ていたら増田四段の勉強法が載っていた。
ご存じの方も多いかもしれないが増田康宏四段は10歳で奨励会入りし、僅か16歳でプロになった俊英だ。藤井聡太四段が6月26日に連勝記録歴代単独1位となる29連勝をかけて戦う相手でもある。
既に新人王獲得、竜王戦5組優勝と実績を残している。これから間違いなくタイトル争いに絡んでくるであろう逸材だ。
その勉強法を要約すると、
大山ー中原戦などの実戦集をまず先手で並べて、次に後手でも並べて、最終的には頭の中で並べて、それを棋譜として書きだす作業をする   というもの。
私がこれを読んでパッと思ったのは
「部分的にはとてもいいが、部分的には時間の無駄なんじゃないか?」
だった。私が思った点を率直にまとめておきたい。
1、棋譜を暗記すると、別の類似の将棋を並べている時に復習できたりするので勉強効率がとても上がる
2、頭の中だけで棋譜再現が出来るレベルまで覚えれば、盤上に現れた技を全て自分のものに出来る
3、大山ー中原戦等のトッププロ同士の将棋もいいが、ソフト同士の棋譜も取り入れると更に良いのでは?
4、少なくとも書き出す作業はいらないのでは?(これは「棋譜を完全に覚えました」と誰かに確認してもらうための行為であり、自分の中でそれが確認できているのであれば不要だと思う)

こんなところだった。「頭の中で棋譜再現する」というのは私も欲しいスキルなので
今日からやってみようかと思う。皆さんも是非お試しあれ。

スポンサーリンク

 

藤井聡太四段、歴代1位タイ28連勝なるか?相手は難敵澤田真吾六段

スポンサーリンク

先手:藤井聡太四段
後手:澤田真吾六段
戦型:角換わり

澤田六段が工夫の早仕掛けを見せて、後手番ながら積極的に先攻する形になった。形勢は互角ながら、普通は攻めている後手が少し勝ちやすい流れか。しかし藤井四段は受けが非常に上手いので、むしろ先手ペースなのかもしれない。

さて28連勝と言えばご存じ神谷広志八段だが、私はこの人のことがずっと嫌いだった。理由は神谷八段が村山聖九段との対局時、盤外戦術として普段吸わないたばこを吸って気を散らそうとしたというエピソードを見たことがあるからだ。村山九段の死後、師匠の森信雄七段にそのことを謝罪したらしい。確か15年近く前の将棋世界誌だったと思う。
私はそもそもタバコが嫌いな人間の前でタバコを吸う人間は害悪だと考えている。ましてやそれを病気の対局相手に対する嫌がらせのツールとして意図的に使ったというのは本当に許せなかった。
だが今となっては少し考え方が違う。そもそも神谷八段が懺悔しなければこのエピソードは世に出なかった。これを言えばファンから一生叩かれることは分かっていたと思う。それでも敢えて自らの過ちを公表し贖罪しようとしたことは立派だ。そう考えるようになった。

さて、将棋は難解な攻防から澤田六段がややリードしたものの、藤井四段も上手く食らいついていって第5図となった。

上図で▲54桂!と打ったのがほぼ決め手。△同歩なら▲42馬△同玉▲43銀~▲32金~▲52銀成(第6図)と追い込んでおく。
 
上図では次の▲22銀が厳しいが適当な受けも無い。先手玉に駒を渡さずに詰めろの連続で迫れれば後手が勝てるがその手もない。ということで先手勝ち。
実戦は▲54桂に△41金▲62歩成となり、ほどなく藤井四段が28連勝を決めた。
これで前述の神谷八段の記録と並んだわけだが、次は歴代単独1位の懸かる対局を26日の竜王戦決勝トーナメントで増田康広四段と戦うことになる。こちらも非常に強敵だが、どうにか勝ち切ってほしい。

スポンサーリンク

本局の動画でのハイライトは こちら

 

藤井聡太フィーバーのこれからを予想

スポンサーリンク

※あくまで私の妄想ですので気楽に見て下さい。記事は6月19日月曜日に書いています。

28戦目:難敵澤田六段に快勝。連勝記録で歴代1位タイに並ぶ。
澤田六段終局後コメント「前回戦ってからまだ3週間も経っていないのに更に強くなっていた」
29戦目:これまた難敵の増田四段に快勝。連勝記録で歴代単独1位に。
増田四段終局後コメント「来季は藤井竜王にタイトル戦でリベンジします」

その後も順調に連勝記録を更新するものの、早指し棋戦でまさかの凡ミスから敗戦。ここから一般人を巻き込んだ第1次藤井フィーバーは緩やかに収束へ向かう。

数か月後、「藤井聡太四段、タイトル挑戦へ。初の中学生タイトルホルダーなるか」の見出しが各紙の紙面に踊る。第2次藤井フィーバーが始まる。あっさりと奪取し初タイトルを決め、熱狂は最高潮へ達する。
その後も当然のようにタイトルを奪取し続けていくが、勝ち続けることが当然となったせいか熱狂も序々に落ち着き、第2次フィーバーは収束へ。この頃結成された追っかけの中年、熟年女性ファングループは解散せず、ますますその活動をエスカレートさせる。余りの熱狂的な応援に一部から批判を浴びる。
 
数年後、当然のように名人を除く七冠王になるがまだA級まで到達していないため名人挑戦が出来ず、「七冠王が名人戦に出れないのはおかしい」と連盟に一部の方(前述の女性グループ?)から抗議の電話が入り、それが各所でニュースになる。第3次藤井フィーバーの兆候が始まる。
 以降はノンストップでA級昇級し、当然のように初参加での挑戦を決め、「藤井七冠王、人類初の八冠へ」と名人挑戦が決まる。
第3次藤井フィーバーが始まる。チェス界や囲碁界等も藤井人気にあやかろうとコラボ開始。藤井人気は世界へー

スポンサーリンク

つづく(?)

駄文失礼しました。記事は全てフィクション、妄想です。

 

藤井聡太四段デビュー26連勝!ハイライトと今後の予定等 VS 瀬川晶司五段  順位戦C2

スポンサーリンク

藤井聡太四段のこれまでの公式戦・非公式戦における
対戦成績は こちら

先手:瀬川晶司五段(24位)
後手:藤井聡太四段(45位)

本局のハイライト動画は こちら

【22時53分】
互角の素晴らしい競り合いが続いていたが、1分将棋に入った瀬川五段の一失を捉えた藤井四段が優位に立つと、持ち前の圧倒的な終盤力で一気に突き離しにかかる。瀬川五段も粘ろうとするが藤井四段の指し手は正確無比であっという間に勝勢を掴んでしまった。そして互角~瀬川五段持ちと思われた局面から僅か1時間。気がつけば当然のように藤井四段が勝利を手にしていた。その姿は最早貫禄すら感じさせる。
これで26連勝。歴代1位がハッキリと見えてきた。ただし、
次の相手:藤岡隼太アマ(東大1年)
28戦目:澤田真吾六段(プロ間実力レーティング10番台)
29戦目:増田康宏四段(昨年新人王。プロ間実力レーティングは間もなく10番台)
と強敵が続く。特に澤田六段は前局、リードしながら終盤の一失を捉えられて敗勢まで追い込まれた難敵だ。増田四段もまだ19歳の急成長中の若手。新人王戦優勝、竜王戦5組優勝と既に実績は申し分ない。勝つのは容易ではないだろう。また、藤岡アマも不気味だ。最近ではアマもソフトにより非常に深いところまで研究が出来るので、トップアマになると中堅プロと互角かそれ以上レベルと考えた方が良いだろう。茨の道になると思うが、何とか歴代単独1位までたどり着いて欲しいと心から願う。

【21時20分】
残り時間
先手:34分
後手:1時間30分
ソフトに読ませると藤井四段に鋭く踏み込む決め手級の手順があったが、実戦心理としてそれを指すのはかなり難しかったようだ。形勢は依然として微差で藤井四段が有利ながら変化が多く、何が起こってもおかしくない状況が続いている。瀬川五段が上手く粘っている印象だ。
21時26分、藤井四段にとうとう疑問手が出たようだ。評価値が一気に後手持ちから先手に振れた。瀬川五段がこのチャンスを生かせれば、26連勝に黄信号となりそうだ。

【22時47分】
残り時間
先手:なし(1分将棋)
後手:41分
形勢は後手勝勢。藤井四段が26連勝に大きく近づいている。

【20時】
残り時間
先手:1時間40分
後手:1時間49分
藤井四段がこのまますんなり押し切るかと思われたが、瀬川五段の壮絶な粘りにより差が縮まった模様。瀬川五段は奨励会三段で無念の退会をし、アマチュアに戻っても諦めずに這い上がってプロの座を掴み取った執念の男。いかに藤井聡太と言えども簡単には振り切れないようだ。どちらが勝つにせよ、決着までの道のりはまだまだ長そうだ。

 

スポンサーリンク

【当日17時半時点での観戦記】
難解な中盤から藤井四段が抜けだし、現局面でははっきり優勢になった。
26連勝が大きく近づいてきた。時間もまだまだある。
残り時間は
先手:2時間35分
後手:2時間41分

【当日15時までの観戦記】
戦型:角換わり
先手の瀬川五段がまさにこの日のために用意してきたような速攻を見せた。
それに対しては藤井四段が思わず大長考に沈み、応手にプロ入り後最長となる1時間16分を費やした。指したのは先手の歩突きを取らずに自陣角を打つという受けの好手。この手以外なら一気にもっていかれそうというところで出た、流石の一着だった。対して瀬川五段も41分の長考に入り、残り時間も形勢もがっぷり四つのいい勝負が続いている。

【勝敗予想】
実力レーティング的には瀬川五段は90位程度、藤井四段は低く見積もっても10番以内ということで藤井四段の期待勝率は数学的な面だけを考慮すると90%超えか。持ち時間の長い長丁場ということも藤井四段に有利に作用しそうだ。
ただ、瀬川五段としてもこのまま26連勝の踏み台になる気はさらさら無いだろう。アマチュア時代には当時現役A級だった久保利明王将(当時は八段)を撃破している。プロ入りしてからも実力レーティング10番台の強豪を度々破るなど
藤井四段としても全く気は抜けない相手だと思う。ましてやもともと先後の決まっている順位戦。瀬川五段が対藤井四段用の特別な作戦を用意してきてもおかしくない。
 

 

 

 

名人戦第6局2日目、佐藤天彦名人 VS 稲葉陽八段

スポンサーリンク

書き始めたのが15時。丁度おやつの時間なので両対局者のおやつを記載しておく。
稲葉:モンブラン + ホットコーヒー+オレンジジュース
佐藤:苺のショートケーキ + りんごジュース

15時現在、局面は第1図まで進んだ。

ここで1、△同銀と2、△62桂!に分かれる。
62桂は屋敷九段が推奨している手。
1、△同銀は以下
▲65桂△同桂▲同桂△64角▲75銀△同角▲73桂成(第2図)と火の出るような攻め合いが予想される。

先手は桂馬を成りこめたが後手の角の利きも急所。これはいい勝負。ソフトはごく僅かに先手持ち。
2.△62桂は面白い手。対しては▲65桂打△同桂▲同桂△42角▲76桂と進んで一見先手がうまくやったようだが、そこで△61桂(第3図)と受けるのが好手で僅かに後手が指せる流れか。

スポンサーリンク


おやつタイムで糖分補給を終えてますます冴えわたる両者の頭脳の激突から目が離せない。

進んで下図(第2図と書いていますが第4図です)。2、の変化で▲76桂まで同様に進み後手が△83飛と受ける進行になった。ここが大きな分岐点だった。


本譜は上図で▲74歩と取り込んだがこれが悪手。△65歩と桂が取られて名人がはっきり優勢になった。
ここは▲53銀と打ち込む勝負手があった。△65歩なら▲42銀成~▲57銀で次の角打ちを楽しみにして先手が互角以上に戦える形勢だ。


17時29分、第5図まで進んだ。ELMOによるとここで△63桂と打てば先手がしびれているようだ。受けの強い名人なら自然と手が行きそうな手だ。挑戦者はこの苦境を跳ね返してタイに持ち込むことができるだろうか。

 

プロ棋士の凄さを他のスポーツで例える

スポンサーリンク

プロ棋士の凄さ、強さというのは将棋をやっていない人には中々伝わりづらい。「AIの方が強いんだから意味ないんじゃないの?」なんていう人もいるくらいだ。
なので、どれ位凄いのか、他のスポーツ等に例えて自分が思いつく限りの表現で伝えてみようと思う。まずは理屈抜きで見てもらいたい。

【将棋のタイトルホルダーの凄さを他のスポーツでの能力に例えると】
【野球】
・常時150キロ超の球を投げる
・150キロ超のをヒットにする
・落差の凄いフォークを投げる
【陸上】
・100メートルを9秒台で駆け抜ける
・砲丸投げで80メートル投げる
【フィギュア】
・4回転ジャンプを飛ぶ
【体操】
・F難度の技を次々と決める
【サッカー】
・ドリブルで3~4人抜く
・オーバーヘッドを決める
・30Mくらいの距離からシュートを決める
・PKで枠内ぎりぎりに行った弾丸シュートを止める
【卓球】
・超高速ラリーができる
・相手が一歩も反応できないスマッシュを決める
・アマチュア相手に11点先取のゲームをラブゲームで勝つ
【麻雀】
・安めの倍満を蹴って数え役満をアガり切る

こんな感じだろうか。ネタが乏しくて申し訳ないが、とにかく凄いということが少しでも伝わればいい。将来的には持ち時間を思い切り短くして(3分切れ負けなど)、スポーツ風の実況をつけてトップ棋士が対局するような棋戦も現れるかもしれない。

スポンサーリンク

 

20連勝なるか?藤井聡太四段 VS 澤田真吾六段

スポンサーリンク

大型連勝中ということもあり、タイトル戦以上に注目されるこの将棋は千日手を挟んで第4図の局面になった。千日手局はまた後で並べていきたい。


第4図から▲45歩△同歩▲同銀と先手が仕掛ける。▲同銀では▲同桂と桂損覚悟で踏み込む手や、▲35歩を絡める手など色々あったところ。
対して△44歩だと作戦負けになる後手は△86歩▲同歩(▲同銀△65歩▲57角という展開もあった)△85歩▲同歩△95歩と強く反撃して第5図。


上図以下は▲同歩に
1、単に△85桂で変化を許さず一本道へ
2、△75歩を入れて攻め味を広げる
に分岐して、ソフトは何れも「ほぼ互角ながら後手がややリード」という見解。
澤田六段としても、後手番で攻勢をとれているのでここまでは上手くやったという感じか。後手は2の△75歩を選択。本筋の一着だ。藤井四段は形勢はともかくしばらく辛抱が続きそうだ。

 66手目(△75歩)まで残り時間
藤井聡太:2時間40分
澤田真吾:1時間18分

局面は△75歩▲同歩から△65歩と後手がもう一回リズミカルな突きを入れて第6図。後手好調の流れに見えたが、ここで天才が信じられない手を放つ。


上図から▲76角!が凄まじい手。実はエルモの検討で第一候補に挙がった手だったが、まさか指さないだろうと思っていた。恐らくは▲86銀か▲76銀(それでも後手ペースながらいい勝負)と進行していくのだろうと。
実際、棋士室の誰もが予想しておらず、更にこの手を見た澤田六段が残り時間が少ないにも関わらず長考に入ったところを見ると、完全に意表を突かれたのではないだろうか。恐ろしい、恐ろしすぎる。藤井聡太。
▲76角に対しては△85桂▲86銀△47歩▲58金△38角というこれまた人間が選ばなそうな手順で「ほぼ互角」とエルモは示していたが、少なくとも実戦でこの順をじっくり読み、「ほぼ互角」になるという結論に辿り着くのは至難の業だと思う。実戦は▲76角に△52金▲86銀△66歩(第7図)と進んだが

角筋が通ったため▲68歩と受けておけば先手十分なようだ。
と思っていたら実戦は▲77桂。更に手厚くした手だが、これは果たしてどうなるのか。後手の選択肢としては
1、△44歩でいったん銀を追い払う
2、△67角とカチ込んでいく
といったところ。ソフト評価値はほぼ互角に戻った。

実戦は△44歩▲56銀△35歩▲同歩△85桂▲同桂(ソフトによると▲同角△36歩▲45桂△同歩▲87玉!という変態的手順も有力だったようだが流石にほとんどの人は指さないだろう)△36歩(第8図)と澤田の猛攻が始まった。次に桂を取って△64桂があるがおしゃれな受けがあった。

ここで▲45桂!△同歩▲64歩としたのが洒落た手順。45に捨てることによってのちの▲45銀を可能にしている。ここで澤田は△72桂(第9図)と打つ手に本局の命運を託した。先手の指し手はほぼ2択。1、▲63歩成か2、▲65銀か。


1、の▲63歩成は以下A、△同金なら▲43角成△同金▲52銀で変化はあるものの先手やや良しか。B、△84桂▲65角△63金も▲34桂と攻めあって、これも先手がいけそうな感じだ。

スポンサーリンク

2、の▲65銀には△46角!と打つのが好手で、次の△37歩成と△55角~△67歩成の筋を見せてこれは後手がやや指せるようだ。
藤井四段の選択やいかに。18時24分。
持ち時間
藤井聡太:2時間10分
澤田真吾:0時間08分
 
藤井四段、ここから果敢に▲63歩成。対して1のAの変化になっていくわけだが、▲52銀打に澤田六段渾身の勝負手が襲い掛かる。それが第10図。


この△76角が藤井四段の思考回路を狂わせたか。まだたっぷり時間が残っていたが、▲77金と指した手が致命傷になりかねない悪手で、△87歩▲同金(▲78玉なら△67角打▲同銀△同歩成▲同金△88歩成▲68玉△87角成で後手良し。第11H図)


△67角打!(第11図)が渾身の逆転打。一気に後手が優勢を掴み取った。第10図では▲68桂と受けておけば、以下△62金と引くくらいしかなく、▲76桂△52金に▲74角!が好打(△63銀なら取って52銀だし42金なら▲63角成)で先手が良かった。▲77金は△87歩と打たれる厳しさを見落としたのだろうか。藤井四段らしからぬミスだったが、△76角と打った澤田六段がそれだけ凄かったということだろう。

本譜は以下▲67銀△87角成▲同玉△67歩成と一気に後手が優勢~勝勢の局面を築いていく。第12図までとなって鮮やかな一手があった。

上図から△67銀!が決め手級の一着。流石に万事休したと思われたが
藤井四段も▲同角から▲33成銀△同玉▲34銀△44玉▲22角と劣勢ながらも鋭く迫る。そして第13図。とうとう後手が逃げ切ったかに見えたが。


上図から▲76桂!が魔手。澤田六段も頭が真っ白になったことだろう。△75玉と逃げれば勝ちだった(澤田六段は▲77角成△同と▲66銀△同玉▲67銀△75玉・・・と追われて詰まされると思ったとのこと。実際はそんなことはなかった。藤井四段の終盤力や▲76桂の魔力、1分将棋という状況が澤田六段を狂わせたのかもしれない・・・)
本譜は△同金▲67歩(第14図)となって、

上図で△85飛ならまだ後手が良かった(▲65銀~▲66金で76の金を取りつつ馬を作ることは出来るが、駒が足りない)ようだが、△46角と攻防風に打った手が致命的な悪手となってしまった。▲57銀と受けられ、△85飛には▲46銀△同歩▲65銀!△同玉▲66金で先手が勝つ。以下、第15図となって先手はっきり優勢だが、澤田六段が最後の勝負手を放つ。


上図から△78銀!が最後の勝負手。以下▲同玉△67桂成▲同銀△87飛成と大迫力の追い込みだが、▲79玉△67金(第16図)で藤井が決め手を放つ。


上図から▲55角成△75玉▲65金△85玉に▲77桂!(△同金なら▲96銀△同竜▲77馬)△76玉に▲75金!△同玉▲65馬から竜を抜いて先手勝勢に。
以下、第18図となって華麗な即詰みがあった。


上図から▲81飛△83桂▲85歩△73玉に▲74歩までで後手投了。
以下は△同玉なら▲56角で詰みだし、△同金も▲82角△62玉▲63歩△同玉▲61飛成~▲52銀で詰む。
澤田六段にしては非常に珍しい大逆転劇だったが、上に書いた藤井四段の「魔力」がそうさせた可能性は高い。
ともあれこれで20連勝。何とかあと9つ勝って、連勝数歴代1位を獲得してほしい。今後は毎回のようにタイトルホルダーやタイトル戦の常連組レベルと当たるようになるため、29連勝は今回が最初で最後のチャンスになるだろう。