名人戦第5局出た!佐藤名人の「横歩取り・勇気流」終局まで

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名人戦第5局
先手:佐藤天彦名人
後手:稲葉陽八段
戦型:横歩取り 勇気流


第1図からはプロの前例は主に△85飛と△22銀(本譜)に分岐。△82飛もある。
△85飛なら▲36歩と指し、△25飛なら▲28歩と受ける(第1変化図)

その変化は次の▲84飛や▲37桂があるため、ソフト評価値的には先手がやや指せるようだ。そこで、△25飛 とは指さずに△52玉と上がり、以下はほぼ互角(ソフトはやや先手持ち。+100程度)。
 本譜は△22銀以下先手は素早く右桂を活用し。後手は飛車を深く引いて角交換して飛車を追って迎撃の構えで第2図。激しいことになった。


第2図から▲83歩!△同飛▲84歩△82飛▲35飛△84飛▲75角(第3図)と激しい変化に突入。ここで昼食休憩。注文は両者とも「岡山県産黒毛和牛すき焼き丼」。おいしそうだ。


まだ前例はある。因みにソフトでは▲75角に代えて▲66角を推奨している。飛車がどこに逃げても▲45桂という感じで、確かに面白そうだ。今度深く調べてみたいと思う。
本譜は▲75角に△82飛と引いたが、△24飛の変化もあるようだ。変化の一例としては▲53角成△62金▲75馬△44角(下図)。


以下▲25歩と打って難解。変化はあまりにも多岐に渡るので省略するが、ソフト評価値はほぼ互角を示している。

本譜は△82飛に対して▲45桂が気持ち良い手で、以下第4図へと進展した。


第4図が15時20分現在の局面で、形勢は先手やや良しのようだ。次に▲44飛~▲65角の筋があるが、後手はどう受けるのだろうか。一例としては△55角とかわして、以下▲46銀△64角▲同角△同歩▲77角!という進行が予想されている。
15時のおやつは両者「モンブラン」と佐藤名人が「ピオネジュース」稲葉八段が「ホットコーヒー」

実戦は下図のように進行した。予想手順の▲同角にかえて▲66角だった。


後手はここで△42金右と寄って難解だったが、実戦は△44歩とひねった受けを見せた。対して▲55銀と出て先手優勢になった。
以下、第6図(18時30分現在)と進行した。ここで封じ手かもしれない。


以下、予想される進行は
1、▲24飛△23歩▲83歩成△同飛▲23飛成△同金▲65角(第7図。先手優勢。+1000以上) 
2、▲83歩成(1に合流)


因みに第7図で△32銀なら▲21飛!という鬼手がある。
△同銀なら▲43角成で終了。

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3、▲44飛 
これは先手優勢ながら、まだヤマ場もありそう。

ここで名人が封じ手の意志を示した。1か2なら早い終局が予想される。

封じ手はやはり▲24飛。対して稲葉八段は△22歩(第8図)とひねった受けを見せたが、これも7手1組の爽快な手順があった。


上図から▲83歩成△同飛▲65角△82飛▲22飛成△同金▲43角成!
が痛快な手順。形勢は+1300ほど先手に傾いた。
以下、稲葉八段も必死に反撃して△37歩で第9図。


上図から▲29銀が正確な受け。同銀なら△29飛が少しうるさかった。その後、リードを拡大して第10図。▲44馬と寄って次の▲65桂を見せたが後手の次の手が根性のある手だった。


上図から△74飛が執念の一着。以下▲64金には△同飛▲同角△84飛と横の田楽刺しが決まる。そこから▲55角△同桂▲同馬となれば次の桂打ちを見せて先手優勢ながら若干差が詰まる。ということで佐藤は▲26馬。これも正着。落ち着いた受けが光る。
以下丁寧に差を広げて第11図。次の手もまた渋かった。


上図から▲38銀が好手。37歩は二歩で打てない。
これで後手は万事休す。


上図が終局図になった。1局を通して、鋭い踏み込みで差をつけた後は渋い受けを連発して完勝だった。
これで名人戦は3勝2敗。挑戦者がタイに戻すか、名人が押し切るか。目が離せない。

 

 

 

豊島八段の横歩取り青野流 VS 名人の迎撃策

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王位戦リーグ白組最終局 佐藤天彦名人(3-1) 対 豊島将之八段(2-2)の一戦。
名人は勝てばプレーオフ以上確定、豊島は勝てば残留負ければ陥落。
どちらも負けられない戦いだ。
戦型は第1図のように豊島の横歩取り青野流に対して名人が受けて立つ展開に。


第1図から▲77桂△55角▲22歩△同角▲37桂と進むと
以前私が調べたような進行になる。プロの実戦例も何局かある形だ。
何れも動画で申し訳ないが今度記事に起こそうかと思う。
青野流その1
青野流その2 52玉型

ソフト同士で青野流を戦わせた棋譜
その1
その2

上記の▲77桂も非常に有力ながら、動画に述べた変化だと、ソフトで調べると僅かに後手有利という展開が多かった。ということもあってか本譜、豊島は▲77角。対して第2図。△26歩。実戦例も20局程ある形だ。


実は第2図の△26歩では△77角成▲同金(▲同桂は△55角▲22歩には△33桂!と跳ねて後手やや良し。)△74飛で後手が若干有利と半年ほど前にソフトで検討していた。本譜の△26歩は前例はあるものの▲28歩と大人しく受けられておくと後々△26歩が負担になって先手がやや良しとなっていた。なので本譜の進行は意外だった。実戦は以下、第3図へと進行した。ここで豊島に好手順があった。


第3図以下▲14歩△同歩▲12歩と端を攻めて先手好調。△同香は▲56角△23角▲34歩(△同金なら23飛成、△同角なら▲同角同飛▲56角。)と抑え込んでいく要領だ。名人も△45角と切り返し、先手やや良しながらぎりぎりの攻防が続いて第5図。ここで豊島が誤った。


第5図ではいったん▲87香と打ち、△85歩に▲76金が勝ったようだ。本譜は単に▲76金なので△55金~△45金の千日手の筋が生じた。しかし名人はこの筋を嫌って△45金で△45桂としたため、放置して▲12成桂ではっきり先手良しに。


第6図で▲43角と打ったのがほぼ決め手。次の▲55飛~▲61金が厳しいので△52銀と受けたが、飛を取って▲31飛の第7図がそのまま投了図になった。

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次の▲51角が厳しいので何か受ける必要があるが、△53玉なら一旦▲39玉が冷静で何もできない形となっている。以下△56角のような手なら▲51飛成で受けなし。
本局は豊島が鋭く踏み込み優位を掴み、名人も粘って難しい形勢となったが最後は誤算があって形勢に差がついたところを豊島がスパっと決め切った一局だった。
これで豊島は王位戦リーグ残留確定、名人は挑戦の望みが断たれた。
横歩取りの青野流はソフトで検討すると後手が良くなる変化が多いものの、実戦的には攻勢をとれる先手が勝ちやすい戦法だと思う。私もまたやってみようと思った。