第67回NHK杯 中村修九段 VS 佐々木勇気五段

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中村九段の先手で、▲76歩△34歩▲58金右!!!といきなりすごい出だし。準備の深さを伺わせる3手目だ。対して佐々木五段は△35歩と伸ばし、早石田の構え。以下第1図と進展。佐々木五段はなんと石田流と穴熊を両立しようとしている。無理気味の構想だが、通してしまえば後手有利。ここで中村九段、動く。

第1図から▲46銀!(第2図)が凄い手


以下△45歩▲57銀で何をやっているかわからないようだが、以下△71金に▲46歩と、手損をして位を取らせてその位を攻める、という高等戦術なのだった。
以下、ソフト検討でも互角という手順が続いたが、続く第3図で均衡が破れた。
第3図は佐々木五段が13の角を22に引いて王手したところ。角筋が止め辛く厳しい手に見えたが、結果的にこれが疑問手となってしまった。中村九段の受けが素晴らしすぎたのだ。

ここから、▲98玉! と凄まじい受けが出る。以下△88銀で早くも詰めろがかかったが、▲55歩!でしっかり受け止める。続いて△99銀成~△42香(第4図)と攻防に香を据えられて困ったようだがそこは「受ける青春」。素晴らしい受けを用意していた。


第4図で▲56銀打!が手厚い受け。△44歩は▲35銀で困るし、次の▲45銀を受ける適当な手段もない。ここではっきりと先手が優勢(+1000程度)になった。
以下、中村九段が快調にリードを広げていくがそこは昨年度勝率No1を争っていた佐々木。第5図で妖しい受けを見せて混戦に持ち込む。


第5図では桂、香が急所に利いていて受けが無いようだが△85飛!が好手。一気に差が縮まった(先手+500程度)
以下、後手が猛烈に追い込んで逆転寸前までいった第6図。▲72歩の垂らしが疑問で(正着は▲41飛)後手にチャンスが訪れていた。

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正解は・・・
△41飛!と打つ手があった。▲15歩と突く位しかないが、△22角と活用して後手もかなりやれる形だ。実戦は△82銀と打ったため▲41飛△42飛に香を取らずに▲61飛成!が好手ではっきり先手優勢になった。以下、中村九段が完璧な指し回しで押し切って若手のホープに快勝。ベテランが底力を見せつける恰好となった。

動画での棋譜並べはこちら

高速棋譜並べ(2分半):こちら
通常棋譜並べ(12分半):こちら

※通常棋譜並べは4月9日18時半に公開されます。

 

2017年 名人戦第一局 佐藤天彦名人 VS 稲葉陽八段

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第75期名人戦は振り駒の結果、先手が佐藤名人、後手が稲葉挑戦者でスタートした。局面は下図(第0図)の横歩取り最新形へと進む。ここで▲33角成△同桂▲24歩△34銀▲23角は無理攻めとされているが、高性能PCでソフト検討させたところかなり有力とのことだった。

以下の進行例は△同金▲同歩成△25歩▲36飛△35歩▲33と△36歩▲34と△84飛▲38銀・・・という感じ。後手が大駒4枚を独占する面白い将棋になる。
実戦は上図から▲15歩。端攻めを含みにした手で非常に有力な形だ。以下後手は△24歩と受け、先手は玉を固め、狙いの端桂を跳ねて第1図の恰好になった。ここで先手に攻めを繋ぐ好手順があった。


第1図の△25歩の局面でソフト評価値は先手+150。ここで佐藤名人は▲36飛としたが、ここでは▲同桂!があった。角交換から△24歩で桂がタダ死にのようだが以下▲75歩!△25歩▲86飛△85歩(飛交換は陣形の差で先手良し)▲36飛が次の▲24歩と▲74歩を狙って厳しい。以下△24桂に▲35飛と浮いて△44角なら▲32飛成~▲74歩で先手良しがソフトの見解。実戦は▲36飛以下
△35歩!▲同飛△26歩! 
が妙手順で一遍に後手優勢となった。稲葉八段は常に深い読みの裏づけを基に思い切りよく踏み込む棋風で、こういう手は絶対に逃さない印象がある。
対して▲28歩でははっきり苦しい(と言っても評価値はー300程度でまだまだ粘れる局面だった)ので、第2図の▲25飛と指したがここで決め手があった。


第2図から△85桂!が決め手。これで名人を争うレベルの者同士の戦いとしては将棋が終わってしまった。▲33角成は△同桂▲26飛△44角がある。本譜は▲66角と苦し受けだが、△同角▲同歩に△34角が決まった。そこから数手進んで第3図。▲同とに対して恰好いい決め手があった。


第3図で△55桂!が決め手。▲同歩なら△67角成~△89角▲57玉に空いたスペースに△56金で詰む。実戦は△55桂を見て佐藤名人の投了となった。

本局は稲葉挑戦者のいいところばかりが出た将棋となった。ハマった時の稲葉八段には誰も勝てないと思う。次局以降、名人も巻き返してくると思うので引き続き熱戦を期待したい。

【解説動画:ロングバージョン:14分40分】
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【解説動画(競馬実況風)ショートバージョン:3分35秒】
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